街を歩くことは、自然や文化にふれながら、体を動かして街の空気を味わう楽しみでもあります。緑に包まれたセゴビアには、桜を思わせる庭園や伝統的な様式の庭園が点在し、散策するたびに異なる表情に出会えます。
日本庭園が、自然の美しさとともに、人の精神性や自然との共生を大切にしてきた日本人の感性を映し出してきたように、セゴビアの風景もまた、自然と人との関係を静かに感じさせてくれます。
セゴビアの街歩きは、日本人観光客の皆さまにとって、どこか親しみを覚える時間になるはずです。
北側の壁面に広がる「言の葉の庭」には、桜の木が植えられています。石に刻まれた日本語の文字は、地球上のすべての民族が互いに尊重し合い、人類と自然が調和し、そして現代を生きる私たちと未来へと受け継がれていく世代が一体となるための理念を象徴しています。
これらの言葉は、日本の書家・宮本知子氏とセゴビア市議会環境局のスタッフが共同で選定したものです。文化を越えた交流と、未来への希望を表現する空間となっています。
この庭園はアルカサルからわずか5分、サンティアゴ門に隣接する恵まれた場所にあります。エレスマ渓谷を見下ろすバルコニーとも言えるこの庭からは、ラ・フエンシスラ聖域、ベラ・クルス教会、サンタ・マリア・デル・パラル修道院、王立造幣局を眺めることができます。
段々畑のように設えられた園内を歩くと、低木やジュニパー、ガラオークが広がる平地から、次第に街路を彩る樹木のエリアへと風景が移り変わっていきます。
さらに上へ進むと、川辺や高地に見られる野生の松やブナが生い茂り、まるで自然の中を遡っていくような感覚を覚えます。
こうして約6,000㎡の庭園は、セゴビアの植物の多様さを、散策を通して体感できる場所となっています。
セゴビア造幣局の西端に位置するこの庭園は、ルネッサンスの伝統を色濃く受け継ぐ、静かな「秘密の花園」です。
果樹園に棚を巡らせた小道や池、灌漑用水路といった構成には、イスラム文明を通じてイベリア半島にもたらされたペルシャ庭園の影響が見られます。
一方で、遠近法とその光学的効果の発見以降、16世紀イタリアで発展した庭園設計の思想も取り入れられ、異なる文化が重なり合う空間となっています。